犯罪被害者支援 県民公開講座の受講結果について【浦和東支部】
2014年3月25日 更新
犯罪被害者支援 県民公開講座に支部長及び支部会員が受講した結果を報告いたします。
開催日時
平成26年3月19日(水)午後1時30分から午後3時20分まで
開催場所
さいたま市南区別所所在 武蔵浦和コミュニティセンター
講座開催状況
講座は、約50名が受講し、主催者として、
- 浦和地区犯罪被害者支援推進協議会会長 本澤 浦和区長
- 浦和地区犯罪被害者支援推進協議会顧問 北澤 浦和警察署長
が挨拶を行った。
続いて公益社団法人埼玉県犯罪被害者援助センターの石和田事務局長が、センターの事業内容である、
- 相談業務
- 直接的支援
- 相談員、支援員の養成及び研修
- 広報、啓発活動
- 関係機関との連携
- 自助グループへの援助
について簡潔に説明し、理解を求めた。
次に、今回の講座のメーンとしての講演、
- 演題 「被害者がしてほしい、身近な支援」
- 講師 交通事故被害者遺族 小沢樹里・恵生氏(女性)
が行われた。
講演内容の事件は、平成20年2月、熊谷市内で発生した死者2名、重軽傷者7名の重大交通事故であり、悪質な飲酒運転の暴走車に父母を奪われた夫婦(小沢克則氏・小沢樹里氏)が、重い障害を負わされた弟妹とともに、加害者である飲酒運転をした者、酒類提供者(飲食店主)、更に同乗者を3つの刑事裁判で徹底追及し、そして現在は、他の遺族とともに遺族の会を立ち上げ、凄惨な交通犯罪が繰り返されないよう、飲酒運転撲滅をはじめとした各種の活動を精力的に進めているものである。
講演では、小沢樹里氏が一瞬にして日常の生活が奪われた中で、夫と共に
- 病院で変わり果てた両親との対面
- 重体で入院した弟妹への対応
- 警察の事情聴取
- 両親の通夜・葬儀
- 息子の育児
- 支援者並びに支援センター相談員・支援員との係り合い
- マスコミ対応
- 加害者逮捕後の検察官対応
- 弟妹退院後の通院対応
- 刑事裁判対応
等々を血の惨むような辛苦の中で対応し、そして幾度にもわたる刑事裁判に携わり、そして各種活動を展開している状況を話された。
その中で、被害者支援について、
- 入院中の妹の所へ支援センター相談員が来てくれ、身体をさすって話を聞いてくれ、妹も
「友達には話せないけど相談員には話せた」
とし、退院して一人になった時、
「誰か話を聞いてくれる人が欲しい」
といい、とにかく、話を聞いてくれる人の存在を望んでいた。 - 被害に遭った直後から、様々な節目に支えてくれたのが支援者(被害者の会や支援センター相談員等)であった。
- 被害者に対して身近に出来ること、例えば、殆ど食事を作る暇がないので、おにぎり、味噌汁などの暖かいものには、ほっとした気持ちになる。被害者に「ほっとした休憩の一時を作ってくれる」(ひと時の気持ちの安らぎが得られる)ことが極めて大切。
- 話を聞いてくれる、ということが本当に大切。但し、被害者は、その時々で気持ちが違う。気持ちの浮き沈みが大きいことも理解していただきたい。
- 興味本位で聞く、ということは絶対に止めて欲しい。
- 日々その日の行動をメモしておく。日記を付ける。感情もちょっと入れておく。これが後に裁判で、役に立つ。
- 被害者は日常生活に頭が回らない状況となっているので、日々の生活の中の、ゴミ当番、学校の行事等大切なものをメモしたり、配布物など大切な所に赤丸をつけたりして被害者に渡す。目を通すのにそこだけちゃんと見られるようにしてあげる。
- 子どもがいる場合、学校の先生の理解が非常に大きかった。先生にも助けてもらえるツールがあることが判った。
- 被害者支援は、特別なものではない。飴一つ、ハンカチ一枚でもよい。
- 自助グループの中で、体験を聞くこと、話すことが回復に繋がる。
等極く当たり前の事柄、ほんのちょっとした配慮が被害者の大きな支えになることを痛感した。
また、これらの経緯を詳細に記した、小沢克則・樹里著「交通犯罪」がリベルタ出版から発刊され、公開講座会場においても販売された。本職も購入したが、とりわけ、刑事裁判について被害者、一般人の視点から鋭く検察官を突き動かし、展開していく様は、身震いする程の迫力があり、交通事故捜査関係者、支援センタ一関係者の必読書と言えるものと判断される。